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肥料や農薬を使わず、種は育てた作物から採種する。そういった農業のことを自然農法や自然栽培というのですが、僕が初めて自然農法の門を叩いた時、後に師匠となる人からこんな話をされました。 「なぜ無肥料でも作物が育つのか。植物は自分の根っこだけで十分な栄養が確保出来ない場合、土の中の微生物達に栄養を運んで来てもらうように働きかけることが出来る。そして、栄養を運んでくれた微生物達にお礼として光合成で作った糖類を渡しています。つまり、植物と微生物はお互い助け合って生きているんです。でも、土に肥料が入ると植物は微生物に頼らなくなり、この共生関係は失われてしまいます。根の周りから十分な栄養を取れるからです。」 この話めちゃめちゃ凄くないですか!?僕らの目に見えない地中の部分で、実は生き物同士が協力し合って生きてるなんて、もの凄いロマンを感じるんですよね。そうやって協力関係を築き上げてきた作物を食べれば、僕たち人間ももっとお互いに協力し合う生き方が出来るようになるんじゃないかとか思ったりもします。 ただし、無肥料で栽培を始めたらいきなり土がこの話のようになる訳ではなく、何年もかけて微生物層を豊かにしていかなけれならないのですが、一度土が出来上がってしまえば、その後はずっと肥料無しでも元気に作物が育つようになる。日本中をそんな土にしたい!って少し傲慢ですが思いました。 なので、僕達の仕事は肥料や農薬を使わなくても作物が育つための“土”を育てることじゃないかなと思っています。 だけど、土だけでは作物を育てることは出来なくて、当然作物の“種”が必要になります。しかもだだの種ではなく、肥料や農薬がなくても育つ生命力を宿した自然農法の種、きちんと子孫を残すことが出来る固定種・在来種の種を守って次世代に繋いでいく必要があります。 それともう一つ、土を育てて種を繋いでくれる“人”がいなければいけません。しかも沢山。 だから、僕達が自然農法を通じてやりたいことは、土を育てること、種を繋ぐこと、それを実行する人(農家)を増やすこと。この3つじゃないかと考えてます。 でも、それを続けられるのは、作物を購入して食べてくれる人がいるからなんですよね。なので、僕達にとってお客様というのはこの活動を一緒に成し遂げてくれる“仲間”なんです。もちろん食べて頂く作物は、僕たちが今育てることが出来る範囲で最も健康的で美味しいお米やお野菜達です。 そんな自然農法の輪が広がっていくことを夢見て日々勤しんでいきます。 えびのファーム代表  戎谷 暁